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2006年1月20日ニューイヤーコンサート 【報告:小林美恵子】
【報告:小林美恵子/1階14列15番】
モーツアルト生誕250年という記念の年、誕生日を1週間後に控えた今日のコンサートはフィガロの結婚序曲で始まりました。沼尻竜典氏指揮のトウキョウ・モーツアルト・プレイヤーズの演奏も活き活きとしていて、文字どおり新しい年の幕開けにぴったりでした。2曲目はチャイコフスキーがモーツアルトの音楽をもとに作曲したという組曲モーツアルティーナです。初めて聴きましたが「アヴェ・ヴェルム・コルプス」が美しい響きの管弦楽で現れ、チャイコフスキーもこの曲が好きだったのかと、嬉しいような気持ちでした。続いての曲はピアノの為の変奏曲を管弦楽にしたものです。ピアノでも多彩な表現に富んだ曲で良く弾かれますが、チャイコフスキーの管弦楽曲ではヴァイオリンのソロが活躍し、華やかさを増しているように感じました。木管の柔らかな響きも印象的でした。 休憩後はシュトラウスのこうもり序曲で始まりました。ウイーンの雰囲気たっぷりの曲に、たちまちホールの中が華やぎました。ペルシャ行進曲では、タンバリンの音が、目から下をベールで隠した踊り子が足首につけた鈴をならして踊っている様を想わせます。ウイーンの人々はオリエンタルなものにエキゾチックな魅力を感じていたのでしょうか、そう言えばモーツアルトも、ベートーヴェンもトルコ行進曲を書いています。 続いてはタイースの瞑想曲。オペラ「タイース」で、主人公がそれまでの放埒な生活を続けるか信仰の道に入るか苦悩する場面で奏でられる間奏曲ですが、佐分利さんのヴァイオリンは、甘く叙情的なだけに留まらず、オペラの場面にふさわしい深いものが感じられる演奏だったと思います。最後の高音の美しさが心に残りました。 そして再びシュトラウスのワルツとポルカの演奏です。お馴染みの美しいメロディーと軽快で楽しいリズムに、自然と体がスイングして動きそうでした。ウィンナーワルツの特徴である2拍目の『溜め』の具合がちょうど良く、節度と品格のある演奏と感じました。チェロのソロが好演だったと思います。 アンコールには3曲を演奏して下さいました。トリッチ・トラッチ・ポルカでは沼尻氏のスマートな指揮ぶりに魅了されましたが、続くピチカート・ポルカはオーケストラに任せ、舞台下手に座ってしまわれました。オーケストラの方々が真剣な顔でコンサートミストレスの手元を見つめ、気持を一つにして見事に演奏し終えると、コンサートミストレスの端正な美しいお顔も、この時ばかりはほころんだように見えました。合奏の醍醐味を目の当たりにして、演奏者をうらやましく感じたところにタイミング良くラデツキー行進曲です。会場の我々も手拍子で参加させていただきました。手拍子も立派に一つの楽器になり得ます。ピアニシモからフォルテシモまでディナーミクを表現して、演奏参加の満足感を得る事ができました。 楽しい音楽を聴いて幸せな気分となり、ウィンナーワルツのリフレインが頭の中を駆け巡っています。沼尻さんも仰っていらしたように、『今年も頑張ろう』とつぶやきつつ帰途につきました。
by tritonmonitor
| 2006-01-26 11:14
| その他特別コンサート等
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