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NPOトリトン・アーツ・ネットワークの活動レポートです。詳細はhttp://www.triton-arts.net
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5月9日(水)クァルテット・ウェンズデイ#56 エルデーディ弦楽四重奏団

~シューマン弦楽四重奏全曲演奏会~
【報告:尾花勉(2階 R3扉 R1列 37番)】


 クァルテット・ウェンズデイで、今や名物になりつつある小冊子がある。この
「SQWサブテキスト」と題された刷物は、当夜の聴き所や、曲の背景を、とても平易
な文章で、且つ、筆者の弦楽四重奏に対する深い愛情を滲ませ乍、私達に教えて呉れ
る。その語り口からは「本日は、遠い処をようこそ御出で下さいました」と、ゆっく
り茶を煎れ、それを客に勧め乍、この宿の由来や、土地の来歴などを話す旅館の女将
を彷彿とさせる。
 私は何時も早めに自席に着き、プログラムに挟まったこのサブテキストを先ず読む
事にしている。それは、普段、オーケストラ曲を専らに聴いている私にとって、親し
みのある作曲家の室内楽曲であっても、始めて接する曲には変りはない。そこで、既
存の作曲家体験と、これから始まる未知なる曲とを如何に結び付けるべきか、という
“鍵”を与えて貰おうと、そうするのである。

 今宵のSQWはエルデーディQによる、シューマン弦楽四重奏全曲演奏会。「故きを温
ねて…~シューマンの1842年」と題された当夜のサブテキストはゆっくりと、やさし
く語り出す。

『そこには、さらっと「ハイドン、モーツアルト、ベートーベンの弦楽四重奏研究に
没頭」と書いてあります。シューマンさんは勉強熱心だったんですねぇ…ということ
以上の大事なことがここで起こっているのです。つまり、彼は過去の作曲者の作品
を、文献を解読するように詳細に研究し、論文という形でその位置づけを発表し、そ
の上で自らこの合奏形のための作品を書き上げる、ということを行っています。』
(出典「SQWサブテキスト その25」、NPOトリトンアーツネットワーク)


シューマンは自らをベートーベンの弟子を以って任じている。この言からも察する事
が出来る様に、詰り、尊崇する師や、過去の巨匠達の遺産を整理し、その目録を作成
た上で自らの資産にして行く、という過程を第一から第三カルテットで“追体験”で
きるのだな……。これこそ私にとって、未踏なる「シューマンの弦楽四重奏」と謂う
世界を開いてくれる貴重な“鍵”なのである。後はエルデーディ四重奏団の演奏に、
唯身を委ねる丈で良い。

 4人が3曲のカルテットを見事に奏し終えた。拍手をし乍、隣で聴いていた知り合
いの某婦人が大きく頷つつ、話し掛けて来た。
「そうね。サブテキストにある『今日のシューマンは、纏めて聴く意味があるので
す。少なくとも、作曲者自身この3曲を纏めて書いたのには、意味があるのです。』
という言葉、全くその通りだったわね」

この婦人同様、今夜も私の心の中に又一つ、重要な“音楽の鍵”が増えた。
by tritonmonitor | 2007-06-13 16:06 | SQWシリーズ
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