NPOトリトン・アーツ・ネットワークの活動レポートです。詳細はhttp://www.triton-arts.net
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2007年12月24日 クリスマスコンサート2007

【報告:齋藤健治/月島在住・編集者/1階8列26番より報告】

「よかったわねえ。なんだかクリスマスプレゼントをもらった気がした」

アンコールが終わり,ホールを後にする人々の姿。その中から今日の演奏を讚える声が聞こえてきた。

TANが2001年に活動を開始して以来続けている「クリスマスコンサート」。今年ですでに7回目を迎えた。

* * *

クリスマス・イブという特別な日もあってか,笑顔いっぱいの人々が集まっている。あれは親子連れか,こちらはカップルだろうか,受付前で待ち合わせをして入ってきたのはきっと親しい友人同士,だって会話が弾んでいる……。ふだんのコンサートでよくお見かけする方も,この日ばかりは優しげな二人連れ。そうした人々が客席を埋めつくし,ステージの始まりを今や遅しとばかりに待ちかねる雰囲気にホールは包まれていた。

* * *

席に着き,モギリでもらったパンフレットを広げてみる。それによると,7年間の受講生は112名。その一人ひとりの名前が掲載されていたが,アウトリーチやTAN主催の研修会で再開した方を発見したり,プロ・オーケストラに入団して活躍中のアーティストも見つけた。さて,今年の受講生の将来はいかなるものに発展していくのだろうか。そんな未来の絵が思わず浮かんだ。

* * *

コンサートのプログラムは例年どおり,受講生だけによるもの,そこに講師の松原氏・川崎氏が加わったもの,講師だけによる演奏,そして最後は講師・受講生全員が舞台にあがりクライマックスを迎える。

1曲目は受講生17名によるメンデルスゾーン「弦楽のためのシンフォニア第6番変ホ長調」。第1楽章はメロディの美しさが際立つが,いささか音量が小さい。それが第2楽章になると緊張がほぐれてきたのか堅さのとれた演奏に変わり,第3楽章では生き生きとした動きへとなる。

2曲目はホルスト「セント・ポール組曲op.29-2」だ。受講生の間に講師の松原氏(Vn)と川崎氏(Va)の姿が見える。この2人にリードされるかのように,第1楽章は神秘的でもあり広大なスケールをもって展開される。あたかも何らかの動物が広い草原を縦横に駆け回るかのようなダイナミックさだ。第2楽章は愛らしい小品のような面持ち。第3楽章は冒頭部分しめやかながらも一転して躍動感あふれる演奏。そして第4楽章は大地の鼓動が感じられるが,もう少し音量がほしいとも思われる。

しかし受講生の音に接していくうちに,その考えは変わってきた。なにも大音量でもって人々をひれ伏すだけが芸ではない。そもそも楽器を鳴らす,あるいは音を奏でるとはどういうことなのか? また,音符をつないでいけば,それはそっくり「音楽」というものに昇華されるのだろうか? あまりにも素朴な疑問を覚えさせるほど,受講生の演奏は丹念であり好ましいものに感じた。

3曲目は講師4人の「プレアデス・ストリング・クァルテット」によるショスタコーヴィッチ「弦楽四重奏第8番ハ短調op.110」。都会にひっそりと佇む人々が醸し出す憂うつさと少しばかりの滑稽さ,静謐で文学的な世界が展開される。

* * *

休憩をはさみ,いよいよ舞台は最後。受講生と講師全員によるドヴォルザーク「弦楽のためのセレナード ホ長調op.22」だ。ダイナミズムあふれる第1楽章,秀逸な演奏が披露された第2楽章,そして第3楽章は優雅であり,第4楽章はひたすら美の世界を突き進む。それはあたかも一人の少女が大人の女性へと成長したかのようであり,ここにおいて受講生はアーティストとしての新たな一歩を踏み出したことが感じられる。

そして第5楽章。爽やかな表現が魅力的であり,今年のステージの印象を一言で表さなければならないとしたら,この言葉にまとめられるかもしれない。

* * *

終演を迎えた夕暮れ。クリスマス・イブのこの日,まだ今日を祝う時間はたっぷりある中,肩を寄せ合いながら席を後にする人々の合間から聞こえてきたのが冒頭に記した言葉だ。再度繰り返そう。それがこの日の受講生の演奏を集約したものに違いないと思われるからだ。

「よかったわねえ。なんだかクリスマスプレゼントをもらった気がした」
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by tritonmonitor | 2008-02-07 12:57 | アドヴェント&クリスマス
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