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NPOトリトン・アーツ・ネットワークの活動レポートです。詳細はhttp://www.triton-arts.net
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クリスマスコンサート2008(2008年12月24日)

2FL1-30 佐々木久枝(会社員・華道教授:中央区勤務)

イルミネーションが夜空を彩る川沿いを歩きながら1年を振り返るひととき。何かと忙しい年末年始にあって、こういう時間もあってよいものです。
今回は選りすぐりの若手奏者達による公開コンサート。実は今まで聴いた事がなく、熱心なサポーター氏の勧めもあり、平日の今回初めて聴く機会に恵まれました。
客席には今日はお客様のおなじみのサポーター仲間は勿論、熟年の御夫婦や和服姿の女性グループ、働き盛りのサラリーマンやカップル等、さまざまなお客様が来場、会場内にはクリスマスツリーも飾られ、華やかさに満ち溢れていました。

メンデルスゾーン:弦楽のためのシンフォニア第3番ホ短調
第1楽章アレグロでは冒頭から潤いある響き。フーガの部分では一体となって強弱のメリハリを効かせており、バッハのピアノ協奏曲第1番冒頭を思い起こさせるものでした。第2楽章アンダンテではのどかな田園を思わせる伸びやかな演奏、粒ぞろいの響きはピチカートに至るまで続いていました。第3楽章アレグロでは装飾音も華麗に決めて全体的に引き締まった演奏、バッハのイタリア協奏曲や彼の厳格な主題による変奏曲テーマを思わせる壮麗さに満ちたアンサンブルを展開していました。

グリーグ:組曲「ホルペアの時代より」作品40
第1楽章前奏曲では軽快な勢いの中にピチカートの柔らかさや気品も感じさせ、映画音楽のような生き生きとした動きが印象的でした。第2楽章サラバンドではピチカートの響かせ方が巧みで、チェロの三重奏に続くクレッシェンドの分厚い音の帯も心地良い響きを聴かせて色彩感豊かな演奏でした。第3楽章ガヴォットとミュゼットでは、上品に弾む独特のリズムに乗ってアンサンブルを繰り広げ、トリオでのチェロとヴァイオリンのかけ合いもスムーズでした。第4楽章アリアでは低音弦の歩みに乗って切々と奏でられるヴァイオリンが印象的、中間部の明るい部分にも劇的な哀しみをたたえたアンサンブルを展開していましたが、再現部への橋渡し場面では胸がいっぱいになりました。再現部での強奏も崩れる事なく安定した演奏でした。第5楽章リゴードンでは元気はつらつなヴァイオリンとビオラのソロがたっぷりと響かせて奏しており、後出しのコントラバスのピチカートもよく響いていました。再現部でも集中力は途切れず密度の濃い演奏を繰り広げていました。

バルトーク:弦楽四重奏曲第2番作品17
ゲストには華々しくプレアデスの師匠達が登場しました。
第1楽章モデラートでは静かな中にチェロが深い奥底に広がるような響き、他3人も細部にまで神経を研ぎ澄ましたような緊迫感が満ち、一糸乱れぬ一体感を見ていて、今回のセミナーの様子をそれとなく想像していました。第2楽章アレグロモルトカプリチオーソではどこかオリエンタルな雰囲気も感じさせる躍動感溢れるメロディ、音を滑らすような場面でもテクニックを見せるだけでなく音に乗って舞い遊んでいました。チェロと3人の間奏が更に前進していくパワーは聴いていてもなかなか面白いものでした。テンポを上げては緩めるという部分も巧みで、弦楽器を「打つ」というイメージのあるバルトークを余す所なく伝えていました。第3楽章レントでは雅楽を思わせる音の重なり方に始まり、同じ音型をリレーしていく部分は曲に対する愛情も感じられ、音ひとつひとつに向き合っていくひたむきさが伝わってきました。

チャイコフスキー:弦楽セレナードハ長調作品48
第1楽章では冒頭から豊潤な響きが縦横無尽に満ち、展開部でのコントラバスの巧みなピチカートや細やかな他パートの刻みが印象的でした。今回のメンバーはピチカートが本当に上手で、再現部での幅広くたっぷりとした響きに大満足しました。第2楽章ワルツでは滑らかに始まり、良く揃ったタテの響きを堪能しました。第2テーマのテンポルバート部分や再現部への橋渡し部分でも松原講師を軸として師匠達共々大変よくまとまっていました。第3楽章エレジーでは、この美しいひとときが過ぎ行くのを惜しむかのような切々としたアンサンブルを繰り広げていました。柔らかなピチカートに乗って物寂しげなメロディが情感たっぷり込めて歌い進められていました。音は発した瞬間、完了形→過去形へと変化(へんげ)しますが、その刹那の美しさを久々に味わった印象です。拍の裏をもしっかり感じさせてくれました。第4楽章ロシア風テーマによるフィナーレでは冒頭は緩やかに美しい歌を聴かせ、その後堂々としたチェロのテーマ提示も奥深い響きと上3声との対話との対話もまた強弱のメリハリが効いており、パーカッション舞曲を思わせるピチカートに乗ってチェロが歌い、ヴァイオリンが歌い、全てが一つのエネルギーのかたまりとなってずんずん前に進んで行っていました。フィナーレを飾る(曲全体の)冒頭テーマが熱さを加えつつ、4楽章のテーマも織り込んで見事に結実しておりました。

アンコールは山本祐ノ介さん編曲の「きよしこの夜」。ステージ上にもクリスマスツリーが映し出され、幻想的なひとときを奏でておりました。
今回の参加メンバーはいずれも現役生かそれに近い人達で、コンクール入賞者や奨学生、マスタークラス参加者といった実力者揃いでしたが、「即メジャーデビュー」に走りがちな日本のクラシック音楽界にあって、一定期間講師達とじっくり一から音楽を作り上げていくこのセミナーの存在意義は大きいなと感じた次第です。せっかく手にした才能をいかに丁寧に磨いていくべきか、改めて考えさせられました。既に何回もこのコンサートが開催されているとの事ですが、今まで聴けなかった事が本当に悔やまれるくらいにレヴェルの高い演奏を聴かせていただきました。
by tritonmonitor | 2008-12-31 10:20 | その他特別コンサート等
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