NPOトリトン・アーツ・ネットワークの活動レポートです。詳細はhttp://www.triton-arts.net
by tritonmonitor
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
カテゴリ
全体
TANモニターとは
TANについて
TANモニタープロフィール
SQWシリーズ
ライフサイクルコンサート
TAN's Amici コンサート
コミュニティ活動
ロビーコンサート
その他特別コンサート等
レクチャー・セミナー
NEWS
チャットルーム
アドヴェント&クリスマス
未分類
以前の記事
2011年 03月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
お気に入りブログ
人気ジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧


カテゴリ:その他特別コンサート等( 13 )

1月23日(土)モーツァルトのニューイヤー“協奏曲の午後”

モーツァルトのニューイヤー2010——協奏曲(コンチェルト)の午後——

2010年1月23日(土)14:00開演
【報告:齋藤健治/編集者・月島在住/2階R3列43番】

 9割方は埋め尽くされた観客席から,曲が終わるたびに熱のこもった拍手が送られる——本日はTAN主催では初めて行ったガラコンサートであったが,その試みはおおむね好評を得たと言えるのではないだろうか。

 ※ ※ ※ 

 N響メンバーによる室内オーケストラ(コンサートマスター:山口裕之さん)と,日本を代表するソリストとの競演。演奏される曲はすべてモーツァルト。そして年末年始の慌ただしさが一段落した土曜日の午後のコンサート。なんともゆったりとした時間が流れる中,セーターなどの普段着姿の観客が数多く見られた。20代とおぼしき若者から年配の方まで,年齢層も幅広い。
 プログラムの1曲目は,ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調K.219「トルコ風」。ヴァイオリンは川久保賜紀さん。音の流れに安心して身を委ねておける,心地よい快演。そして音に華やかさが感じられる。
 2曲目は,フルートとハープのための協奏曲ハ長調K.299(297c)。吉野直子さんのきらびやかでもあり奥行きのあるハープの表現力に,小山裕幾さんのフルートがからむ。小山さんは台頭著しい若手アーティスト。体全体でリズムをとるその姿は一瞬ポップスやロックのミュージシャンを思わせるが,ベテランの吉野さんに一歩もひけをとらない堂々たる演奏。スピード感のあるサウンドだ。
 休憩をはさみ最後の3曲目は,クラリネット協奏曲イ長調K.622。赤坂達三さんのクラリネットは,あたかも一流の調理人が素材のもつ良さをそのまま引き出しているかのような,極めてピュアな音づくりだった。
 一方のN響室内オーケストラは,特に中低音がとても魅力的である。横綱相撲とでも言えようか,きわめて安定感に満ちあふれている。

 ※ ※ ※

 このように,プログラム自体は極めて良質で楽しめるものではあったが,それでも多少の違和感がぬぐえなかった点もある。
 なぜなら,TANの主催コンサートといえば,SQWのような弦楽四重奏のイメージが強く,また,積極的に新進気鋭のアーティストを紹介している印象もあるからである。それがこのホールのオリジナリティであり,たとえ少数ながらも室内楽の熱心な観客をつかんできたのではないだろうか。
 そのイメージがある中で,なぜ小編成ながらもオーケストラなのか,なぜビッグネームのアーティストによるプログラムなのか,また,なぜ他の作曲家ではなくモーツァルトなのか——,残念ながら,こうした疑問を解消してくれる情報は手に入らなかった。
 それでも,新しい試みは絶えず行われるべきではないだろうか。前例踏襲は衰退を生む。
 新春に,「この第一生命ホールでしか聴くことのできない」ガラコンサートを,来年は期待して,やまない。初めての主催ガラコンサートにもかかわらず,多数の観客動員を果たしたのだから。
[PR]
by tritonmonitor | 2010-01-29 19:24 | その他特別コンサート等

2009年12月23日(水・祝)子どものためのクリスマスコンサート

2009年12月23日(火・祝)10時30分開演
【報告:的場康子/会社員/2階C1列5番】

 「子どものためのクリスマスコンサート」、小学生の娘と一緒に聴かせていただきました。ホール入口のロビーでいただいたプログラムは、小学生でもわかるように、ふりがな付きのものでした。座席に着くと早速、娘もプログラムを熱心に読んでいました。

①モーツァルト:ディヴェルティメント変ロ長調k.137(125b)
 コンサート開始の合図とともに、照明が暗くなったと思ったら、ステージには、次々とカラフルで華やかな衣装を着た演奏者が続々と登場してきました。演奏だけでなく、視覚的にも華やかなステージは、クリスマスのイメージにピッタリでした。3楽章までの全曲演奏でしたが、楽章の途中で拍手が全く聞こえてきませんでした。「子どものため」のコンサートとしては、びっくりです。

楽器の紹介
 ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの順で楽器の紹介を兼ねて、子どもたちがよく知っている曲を少しずつ演奏してくださいました。特に、ヴィオラで「崖の上のポニョ」が演奏されたときには、客席から子どもたちの歌声も聞こえ、ホール全体がほのぼのとした雰囲気に包まれました。

②パッヘルベル:カノン ニ長調
③J.S.バッハ:エア~管弦楽組曲第3番ニ長調BWV1068より
④J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ
 この3曲の時には、特別に、子どもたちが20人くらいステージに上がって、演奏者の後ろで聴けるという企画が用意されていました。④の演奏後、松原勝也氏が「座席とステージ上で聴くのと、どう違う?」と子どもたち一人ひとりにたずねたら、「(ステージ上の方が)音が大きい、振動が聞こえた」「座席よりもきれいに響いていた」「楽器の音が揃っていてすごかった」「よく音色が聞こえてよかった」「いろいろな音が出てよかった」「コントラバスの音の振動で足が震えた」等、みんなうれしそうに元気よく答えていました。

⑤チャイコフスキー:「フィレンツェの思い出」ニ短調 op.70(弦楽合奏版)より第4楽章
 最後のこの曲は、アドヴェント弦楽合奏団とともに、松原勝也氏、鈴木理恵子氏、川崎和憲氏、市坪俊彦氏、山崎伸子氏も一緒に演奏しました。1時間とはいえ、コンサートも終盤で、子どもたちの集中力が少々落ちる頃にもかかわらず、圧倒されるエネルギッシュな演奏に、一緒に聞いていた娘も、音の強弱、速さの違い、そして「やさしさ」に感動したようで、「素敵な曲だったね」と喜んでいました。

 アンコールの「きよしこの夜」のときには、ステージ上のスクリーンにクリスマスツリーが映し出され、クリスマスの雰囲気をしみじみと感じさせてくれました。終演後、エレベータで降りているとき、「癒されたね」というお母さん同士の喜びの会話が聞こえてきたのも、この演奏と演出の効果からかもしれません。
子どもの心にストレートに響く本物の演奏。演奏者の近くで聴ける貴重な体験。親子で一緒に過ごす素敵な時間。きっと、多くの子どもたちにとってこのコンサートは、「クリスマスプレゼント」として心に残るコンサートだったと思います。
[PR]
by tritonmonitor | 2009-12-25 18:35 | その他特別コンサート等

クリスマスコンサート2008(2008年12月24日)

2FL1-30 佐々木久枝(会社員・華道教授:中央区勤務)

イルミネーションが夜空を彩る川沿いを歩きながら1年を振り返るひととき。何かと忙しい年末年始にあって、こういう時間もあってよいものです。
今回は選りすぐりの若手奏者達による公開コンサート。実は今まで聴いた事がなく、熱心なサポーター氏の勧めもあり、平日の今回初めて聴く機会に恵まれました。
客席には今日はお客様のおなじみのサポーター仲間は勿論、熟年の御夫婦や和服姿の女性グループ、働き盛りのサラリーマンやカップル等、さまざまなお客様が来場、会場内にはクリスマスツリーも飾られ、華やかさに満ち溢れていました。

メンデルスゾーン:弦楽のためのシンフォニア第3番ホ短調
第1楽章アレグロでは冒頭から潤いある響き。フーガの部分では一体となって強弱のメリハリを効かせており、バッハのピアノ協奏曲第1番冒頭を思い起こさせるものでした。第2楽章アンダンテではのどかな田園を思わせる伸びやかな演奏、粒ぞろいの響きはピチカートに至るまで続いていました。第3楽章アレグロでは装飾音も華麗に決めて全体的に引き締まった演奏、バッハのイタリア協奏曲や彼の厳格な主題による変奏曲テーマを思わせる壮麗さに満ちたアンサンブルを展開していました。

グリーグ:組曲「ホルペアの時代より」作品40
第1楽章前奏曲では軽快な勢いの中にピチカートの柔らかさや気品も感じさせ、映画音楽のような生き生きとした動きが印象的でした。第2楽章サラバンドではピチカートの響かせ方が巧みで、チェロの三重奏に続くクレッシェンドの分厚い音の帯も心地良い響きを聴かせて色彩感豊かな演奏でした。第3楽章ガヴォットとミュゼットでは、上品に弾む独特のリズムに乗ってアンサンブルを繰り広げ、トリオでのチェロとヴァイオリンのかけ合いもスムーズでした。第4楽章アリアでは低音弦の歩みに乗って切々と奏でられるヴァイオリンが印象的、中間部の明るい部分にも劇的な哀しみをたたえたアンサンブルを展開していましたが、再現部への橋渡し場面では胸がいっぱいになりました。再現部での強奏も崩れる事なく安定した演奏でした。第5楽章リゴードンでは元気はつらつなヴァイオリンとビオラのソロがたっぷりと響かせて奏しており、後出しのコントラバスのピチカートもよく響いていました。再現部でも集中力は途切れず密度の濃い演奏を繰り広げていました。

バルトーク:弦楽四重奏曲第2番作品17
ゲストには華々しくプレアデスの師匠達が登場しました。
第1楽章モデラートでは静かな中にチェロが深い奥底に広がるような響き、他3人も細部にまで神経を研ぎ澄ましたような緊迫感が満ち、一糸乱れぬ一体感を見ていて、今回のセミナーの様子をそれとなく想像していました。第2楽章アレグロモルトカプリチオーソではどこかオリエンタルな雰囲気も感じさせる躍動感溢れるメロディ、音を滑らすような場面でもテクニックを見せるだけでなく音に乗って舞い遊んでいました。チェロと3人の間奏が更に前進していくパワーは聴いていてもなかなか面白いものでした。テンポを上げては緩めるという部分も巧みで、弦楽器を「打つ」というイメージのあるバルトークを余す所なく伝えていました。第3楽章レントでは雅楽を思わせる音の重なり方に始まり、同じ音型をリレーしていく部分は曲に対する愛情も感じられ、音ひとつひとつに向き合っていくひたむきさが伝わってきました。

チャイコフスキー:弦楽セレナードハ長調作品48
第1楽章では冒頭から豊潤な響きが縦横無尽に満ち、展開部でのコントラバスの巧みなピチカートや細やかな他パートの刻みが印象的でした。今回のメンバーはピチカートが本当に上手で、再現部での幅広くたっぷりとした響きに大満足しました。第2楽章ワルツでは滑らかに始まり、良く揃ったタテの響きを堪能しました。第2テーマのテンポルバート部分や再現部への橋渡し部分でも松原講師を軸として師匠達共々大変よくまとまっていました。第3楽章エレジーでは、この美しいひとときが過ぎ行くのを惜しむかのような切々としたアンサンブルを繰り広げていました。柔らかなピチカートに乗って物寂しげなメロディが情感たっぷり込めて歌い進められていました。音は発した瞬間、完了形→過去形へと変化(へんげ)しますが、その刹那の美しさを久々に味わった印象です。拍の裏をもしっかり感じさせてくれました。第4楽章ロシア風テーマによるフィナーレでは冒頭は緩やかに美しい歌を聴かせ、その後堂々としたチェロのテーマ提示も奥深い響きと上3声との対話との対話もまた強弱のメリハリが効いており、パーカッション舞曲を思わせるピチカートに乗ってチェロが歌い、ヴァイオリンが歌い、全てが一つのエネルギーのかたまりとなってずんずん前に進んで行っていました。フィナーレを飾る(曲全体の)冒頭テーマが熱さを加えつつ、4楽章のテーマも織り込んで見事に結実しておりました。

アンコールは山本祐ノ介さん編曲の「きよしこの夜」。ステージ上にもクリスマスツリーが映し出され、幻想的なひとときを奏でておりました。
今回の参加メンバーはいずれも現役生かそれに近い人達で、コンクール入賞者や奨学生、マスタークラス参加者といった実力者揃いでしたが、「即メジャーデビュー」に走りがちな日本のクラシック音楽界にあって、一定期間講師達とじっくり一から音楽を作り上げていくこのセミナーの存在意義は大きいなと感じた次第です。せっかく手にした才能をいかに丁寧に磨いていくべきか、改めて考えさせられました。既に何回もこのコンサートが開催されているとの事ですが、今まで聴けなかった事が本当に悔やまれるくらいにレヴェルの高い演奏を聴かせていただきました。
[PR]
by tritonmonitor | 2008-12-31 10:20 | その他特別コンサート等

11月15日(水):第一生命ホール 5周年の記念日コンサート

【報告:尾花勉/2階C1列1番】

 私はTANと御付き合を始めてまだ一年経たないが、廻りのサポーター諸氏には開館以来という御歴々が多い。その中の一人である某氏とは今夏の終わり頃より随分入魂にして貰っている。第一生命ホールの演奏会後は、今宵の感銘を御銚子の調子に乗りつつ、その某氏を含めた数人と語り合うのが吉例となっている。今日のコンサートを前にした忘日、顰に習い杯を交え乍「私達はサポーターとして、これから何が出来るのか」と云う話になった。普段は目の辺りをはんなり桜色に染め、うんうん、と聞き役に廻ることが多い某氏が「先ず、私達は今度の誕生日コンサートに行くべきです。その場に居る、ということが大切です」と、辞色を新にした。その言葉にはサポーターとして丈ではなく、まるで肉親の御祝事に対する様な暖かい響きが有った。未だその暦年浅い私にも某氏の感情が伝播し、その日が素直に喜ばしく思えた。そうです、是非そうしましょう、と賛同する私に、某氏は嬉しそうな、満足げな面持ちを隠さなかった。

 さて『五周年の誕生日コンサート』は、プレアデス・ストリング・クァルテットとクァルテット・エクセルシオに依るメンデルスゾーンの弦楽オクテットで幕を上げた。この両楽団は始めての共演と云う事らしいが、その様な素振は微塵も無く、逆にそれがほどよい緊張感を生んでいる。特に素晴らしかったのは、ピアノからフォルテというダイナミクスに、目に見える計の減り張りを付けていた所だ。この「演出」が、彼の天才が十代に書き上げたと云う当曲が持つ若若しさを充分引き出した丈でなく、今日という喜ばしい堂内に祝祭的な華やかさを添えているかの様だった。

 休憩を挟み、今宵の真打、長岡純子さんを迎え、プレアデス・ストリング・クァルテットとのシューマンのピアノ・クインテットが演奏された。長岡さんのピアノは楷書的な折り目の正しさの中に、人間的な暖かさが滲んでいる。共演しているプレアデスSQのみならず、聴いている私達をも長岡さんの音楽へ迎え入れて呉れる様な慈愛に溢れている。心静かにその音色に身を委ねていると、遠い日に感じた母の温もりを思い出す……。最後の和音が奏されると、ホール内は何とも言えない一体感に満ちていた。

 終演後、ロビーに出てきた老夫妻が「こんなに優しい気持ちになれたは久しぶりね」と語り合っている姿が美しく映った。

 吉例に倣い某氏と数人で赤提灯へ入り、五周年御目出とうと杯を挙げた。そして何となく気になり鞄の中の『新明解国語辞典』(山田忠雄(主幹)、第六版、2005、三省堂)を引いてみた。


あい【愛】 個人の立場や利害にとらわれず、広く身のまわりのものすべての存在価値を認め、最大限に尊重して行きたいと願う、人間本来の暖かな心情。


 そう、これこそ今日のコンサートそのものではないか。長岡純子さん、プレアデス・ストリング・クァルテットとクァルテット・エクセルシオ。更にこのコンサートを蔭、日向なく支えたサポーター諸氏、或いはTAN、またホールの職員各位、そして聴衆。その全てがこの「人間本来の暖かな心情」で結ばれていたのだ、と、心からそう思った。

 愛すべき人と愛すべき音楽に育まれる、愛すべき第一生命ホール。本当によかったね、これからももっと大きくなるんだよ。
[PR]
by tritonmonitor | 2006-11-28 12:04 | その他特別コンサート等

11月15日(水):第一生命ホール 5周年の記念日コンサート

【報告:齋藤健治/月島在住・編集者/1階14列7番より報告】

 メンデルスゾーン「弦楽八重奏曲 変ホ長調 op.20」第1楽章アレグロ・モデラート・マ・コン・フォーコが,鳴る。1stヴァイオリンの松原勝也さんの音色は,慈しみにあふれ,やさしく,メロディアス。それに寄り添う鈴木理恵子さんはキリっとした美しさをたたえ,西野ゆかさんはていねいに織物を縫っているかのようで,山田百子さんは丹念に一音一音を追究する。支えるヴィオラの川崎和憲さんはどっしりとした軸をつくり,吉田有紀子さんがそれにやわらかく絡む。チェロの山崎伸子さんは愉しげにサウンドを華やかにし,大友肇さんがキッチリと音を締める。こんなゴージャスな舞台は滅多には聴けない。今日は,TANの特別な日なのだ。

 TANが2001年の活動以来つくってきた舞台に幾度も接してきた。その前年にこの町に移り住み,建設途上のトリトンスクウェアを眺めていた。高いタワービルに囲まれたこの丸い建物は,いったい何なんだろうかと。
それがホールであることを知ったのは,幸いなことにオープニング事業に関わることができたからである。それからTANとのおつきあいが始まった。しかし,まだクラシック音楽にはなじめなかった。

 一変したのは,ある舞台からだった。ここに2001年6月20日「試聴会」のプログラムがある。この時,松原勝也さんと若いアーティストによるクァルテットが弾いたのが,バルトーク「ルーマニア民族舞曲」だった。自由奔放にヴァイオリンを鳴らす松原さん。すっかり魅了された。「クラシック音楽とは,こんなに自由でダイナミックなものなのか!」

 この日以後,クラシック音楽を聴くことが愉しくなっていった。ふだんの生活の彩りが一つ増えた。CDも少しずつ買いそろえていった。その中の1枚が,シューマン「ピアノ五重奏曲 変ホ長調 op.44」。

* * *

 本日の第2部が,幸いなことに,このシューマンの曲だった。ひょんなきっかけでTANとかかわり,クラシック音楽に傾倒していき,それから5周年。ステージで今聴きたい曲は何かと聴かれたら,迷わずこれだと答えたであろう中の一曲。それが記念の日のプログラムと重なり合った。なんとも嬉しい偶然の一致である。

 ピアノに向かうは,日比谷の旧ホールにも立ち,この晴海での新ホール・オープニングの舞台をも飾った長岡純子さん。競演するは,松原・鈴木・川崎・山崎氏によるプレアデス・クァルテットだ。

 第1楽章アレグロ・ブリランテの第一声はキッパリとしたフレッシュな音。新鮮な野菜を口に運んでいるかのような快さ。第2楽章イン・モード・ドゥナ・マルチア、ウン・ポーコ・ラメルガンテは主部の戻る際の響きが清楚であり、第3楽章スケルツォ、モルト・ヴィヴァーチェはコクのある激しさ。そして第4楽章アレグロ・マ・ノン・トロッポで至福の高まりに達する。

 * * *

 1階席は8割ほどの聴衆で埋まり,これだけ多くの人によって記念の日を祝福されたことを,喜ばしく思う。ステージによって観客の入りに変動はもちろんあったことだろう。しかし,5年間,アーティストのサウンド,客の拍手とヴラボーの声に刻まれ,TANとこのホールは育ってきた。その逆に,TANとこのホールも人を育ててきた。そう,一人のヴァイオリニストの音をきっかけにクラシック音楽にひきずりこまれた私のような者を。
[PR]
by tritonmonitor | 2006-11-28 11:58 | その他特別コンサート等

2006年11月15日(水):第一生命ホール5周年の記念日コンサート

2FC1-13 佐々木久枝(中央区勤務)

ちょうど5回目の誕生日を迎えた第一生命ホール。この晴れの日にサポーターとして立ち会う事が出来る幸せと誇らしさは言い知れぬものがあります。お客様も今か今かと開場を待ちわびている様子がホール入り口でスタンバイする私達にもよく伝わってきました。晴れやかに、でも少し緊張もしながら・・・・

前半はプレアデスとエクセルシオの2クァルテットの合同演奏によるメンデルスゾーンの弦楽八重奏曲が演奏されました。
冒頭奏者の珍しい配置にまず驚きました。湧き上がるような第1主題のヴァイオリンとチェロにそれの間を泳ぐような他パートの活発なアンサンブルが繰り広げられ、ピチカートと流すようなコントラストが変ホ→ト→変ホと展開されていきました。リピート2度目のヴァイオリンはすっかり彼らの世界に入っていましたが、部分部分でモーツァルトの2台ピアノの協奏曲を思わせ、展開部から再現部に向けての盛り上がりはメンデルスゾーンらしい半音刻みのクレッシェンドの盛り上がりを見せていて、ちょうど彼のピアノソナタ第1番を思い起こさせました。第2楽章アンダンテではハ短調の憂うような3連符風伴奏に乗って第1ヴァイオリンのソロ旋律部分が特に印象的でした。途中チェロも加わり長調でメロディ展開していく部分は回想部分を思わせるような演奏でした。第3楽章アレグロは全体的に軽やかな曲想で、ト長調に転調して更に舞うようなアンサンブルでした。
アタッカ気味に入った第4楽章プレストでは2グループのかけ合いが活発で、ピアノソナタ第1番のフィナーレを思わせました。全体的に華やかなフィナーレで、第1ヴァイオリンのカデンツァ風パッセージも聴き入りました。

後半ではピアノに長岡純子さんを迎えてシューマンのピアノ五重奏曲が演奏されました。長岡さんはオープニングコンサートでベートーヴェンのピアノ協奏曲を聴いたのですが、躍動感溢れるタッチと歌い回しで、生まれ立てのホールに瑞々しさを注ぎ込んでいました。5年の年月を経て再び弾かれたピアノは一層躍動に満ちて、響きが熟してきたホールを祝福するかのように優しくかつ朗々と響き渡りました。第1楽章アレグロではカーンとした響きと後拍を意識したアンサンブルが聴き手を引き込みましたし、再現部でのチェロとの絡み合いも見事でした。第2楽章での緩やかな葬送行進曲風は重々しさを保ちながらも沈み過ぎないバランスを保っていました。途中最初のトリオではややためらいがちに長調で回想場面を思わせるような歌い口でしたし、続く別のトリオでもド音から下がって特徴のあるリズムを刻みながら進み、第1ヴァイオリンの歯切れ良さはあたかもショパンのピアノ協奏曲第2番中間楽章を思わせ、ビオラの主旋律とピアノが受けていくところも聴きどころでした。更に第1ヴァイオリンのメロディアスな場面はシューマンのピアノ協奏曲中間楽章を思わせました。続く第3楽章スケルツォは急速な上下音スケールでややもすると無味乾燥な練習曲に聴こえかねないのに、長岡さんのカーンとした打鍵と弦との小気味良いかけ合いでグイグイ引き込まれていき、アンコールで再度奏された時も興奮が収まりませんでした(笑)。第4楽章アレグロではピアノと弦との対話が特徴的で、独特のタタターンというリズムに乗って展開していくコーダ部分でも力強いピアノのフーガと弦パートが右から左へと旋律リレーしていく部分で視覚的にも楽しめました。

本番後のささやかなレセプションでも話題に出たのですが、第一生命ホールはお客様・演奏家・スタッフ、そしてサポーターに支えられてこの5年を迎えられたとの話。私達ブランティアスタッフがサポーターと呼ばれるのも、”支える”という面に焦点を当てているからなのでしょう。それぞれ担う役割はさまざまですが、皆何らかの形で一つの演奏会、一つの事業を成すべく取り組んでいるという事を改めて思った次第です。1サポーターとしての原点に還った夜でした。
―また、新たな5年、10年に向かって―
[PR]
by tritonmonitor | 2006-11-26 12:25 | その他特別コンサート等

ウィーン・フィルメンバーによる室内楽演奏会

【報告:齋藤健治/月島在住・編集者/1階18列21番より報告】


 「こんなに優雅なコンサートは,久しぶりだわ」――休憩の時間,聞こえてくる観客の声。
今世紀の幕開けとともに誕生したアートNPO・TAN。本日はその活動を支えてきた会員のための,特別プログラムである。

 用意された曲目は全編モーツァルト。それも「クァルテット・ウェンズデイ」などを企画してきたTANらしく,室内楽で構成された。演奏するのはウィーンフィルのメンバーである。

 客席の様子は,仕事帰りとおぼしき人々に若者の姿も混じり,1階は9割ほどは埋まったかのように,空席は残り少ない。2階席の状況ははっきりとはつかめないものの,コンサートの合間にロビーに立って眺めれば,階段を下りてくる長い列が目に入ってくる。

 演奏は計4曲。1曲目は,「弦楽四重奏曲 変ロ長調 K.172」。第1楽章アレグロ・スピリトーソの滑り出しは軽やかに,第2楽章アダージョはしなやか。第3楽章メヌエット,第4楽章アレグロ・アッサイと,音にふくよかさが増してくる。厚みがありながらも,押しつけがましさは感じられない。上質のカシミヤの生地に,そっと包まれているかのよう。

 2曲目「オーボエ四重奏曲 ヘ長調 K.370(368b)」は,けれん味のないサウンド。音を音として感受し,そのまま味わうことを許されるならば,かすかなまどろみの時間が立ち現れてくる。たとえば,祖父母の家で過ごした幼い頃。それは,ただあるがままの空間を漂うことが可能となる一つのものとして挙げてもよいだろう。そこでは,“そこにあるもの”をそのまま受けとめられる。自分を防御したり,他から借りてきたような思想・思考は,そのような場ではひとまず措くことができる。
そして,こうした,気持ちをナチュラルな状態に戻す機会があるということは,生活の中にゆとりをもたらす。

 しかし時に音は,人の心を,静かだけれども深く揺さぶることもある。今晩では,3曲目「フルート四重奏曲 ニ長調 K.285」第2楽章アダージョが,そう。古い歌曲を歌うかのようなフルートのソノリテが,記憶の底に巣くっていた出来事を揺り起こし,脳裏で再会させる。それは愛しい人の笑い顔や,暗い闇,胸を和ませるものであったり,あるいは締めつけるもの。モーツァルトを聴いている今,それと脈絡もない個人的なものとがなぜ結びつくのだろうかと座席で一人戸惑ってしまう。だが,過去に経験した一つひとつのことの延長線上に今があり,昔を大切に思うのならば,日々を充実させなくてはならないことにも思いが及ぶ。このようにして音は,生活に精気を与えもする。

 休憩をはさんだ4曲目は「弦楽五重奏曲 ト短調 K.516」。ヴィオラがもう1本加わる。第1楽章アレグロの端正なメロディ,第2楽章メヌエットは憂いをしのばせ,第3楽章アダージョ・マ・ノン・トロッポはユニゾンの厚みに魅了される。そして第4楽章アダージョ―アレグロは静けさから軽やかさへと徐々に明るさを帯びていく。

 大掛かりで,きらびやかで,めくるめくような音の洪水で,記念の年を飾るコンサートもよい。しかし,決して大きな声ではないけれど,親密な音色で迎えてくれる場所もある。人によってそれを優雅だと感じたり,平静な時間を取り戻したりする。だがそれらは一点で共通しているのだ。暮らしの幅を広げるという意味において。
[PR]
by tritonmonitor | 2006-11-15 10:19 | その他特別コンサート等

2006年11月10日(金)ウィーン・フィルメンバーによる室内楽演奏会

2FR1-41 佐々木久枝(中央区勤務)
ちょうどホールのお誕生月ともいえる今日この頃に、ウィーン・フィルの皆さんによる思いがけない誕生プレゼントをいただいた感があります。お客様は勿論、サポーター仲間も多く来場し、普段はなかなか会えないメンバーとは旧交を温めるひとときでした。
当夜はオール・モーツァルトの演目で、放送や音盤でよく耳にしながらも実演をこんなに間近に聴くのはそうない機会なので、非常にエキサイトしました。

「弦楽四重奏曲変ロ長調」では第2楽章アダージオでのしみじみした変ホ長調の歌い口は勿論、アレグロ楽章でも生き生きとした演奏でした。続いてゲストを加えての「オーボエ四重奏曲」と「フルート四重奏曲」を披露しましたが、団内トッププレーヤーのまろやかな(弾き口というよりも)吹き口には身を乗り出して聴き入りました。オーボエでのアダージオは短いながらも憂いのつぶやきが感じられ、ロンドでは弦パートがピアノを聴いているように縦に粒揃いの巧さ。フルートでのお馴染みの主題では軽やかにして華やかな響きで、当夜の集いを飾るのにふさわしく思われました。ロンド楽章での再現部で弾かれた第1ヴァイオリンとフルートとの掛け合いは軽やかでスタイリッシュと申せましょう。いずれの曲でも感じられたのですが、団にとっても「お国もの」であり彼らにとってもいわば「おはこ」でもあるのでしょうが、各楽曲の要所要所をきっちりおさえながらも良い意味で力を抜いて弾いていたのが印象的でした。一生懸命に演奏する国内外室内楽団をいろいろ聴いていますが、技術面や音楽面では全く引けをとらないがやはりこの点は"血は争えない"なという事なのでしょう。ホール内の響きもふんわり彼らならではの響きが2F席にまで伝わってきました。

ヴィオラがもう一人加わっての弦楽五重奏曲ト短調では冒頭から交響曲第40番を思い起こさせるような哀しみの疾走で始まり、いわば自身の人生の冬を思わせるような世界が、特に奇を衒う事無く広がっていきました。第2楽章メヌエットはめくるめくような不安が強弱の反復で巧みに描かれていましたし、続くアダージオではいわば「彼岸の奏楽」とも呼べそうな響き。或いは縁側の陽だまりにふと物思いにふけるイメージでしたが、不思議な事にウィーンフィルのメンバーが演奏を通じてその場面を浮かび上がらせてくれました。フィナーレはピアノ協奏曲第27番変ロ長調にも見られた「朗らかな諦めの境地」をも描いており、アレグロにテンポが上がり長調に転調してもどこか一歩引いて静かに思いにふけるような印象でした。

アンコールでは一変して当夜のお祝いムードに更に華々しさを添えるような明るいアンサンブルを聴かせ、場内からも熱い拍手が送られました。
いよいよ来週は"誕生日"を迎える第一生命ホール。思い出に残るひとときとなりますように!!
[PR]
by tritonmonitor | 2006-11-12 03:06 | その他特別コンサート等

2006年1月20日:ニューイヤーコンサート2006 【報告:川澄直美】

【報告:川澄直美/会社員/1階12列29番】

ホールに向かう電車の中で「今日はいつもより早い」ということに気づき、開演時間に間に合うかどうか瀬戸際だったので、JRの新橋駅で降りてタクシーに乗ることにしました。この時、既に7時15分前でした。運転手さんに「7時からトリトンスクエアーの第一生命ホールでコンサートがあるので、近道で」とお願いして、7時数分前にトリトン前に到着し、エスカレーターを駆け登り、開演前ぎりぎりに着席。息を整えている間に、1曲目が始まろうとしていました。ニューイヤーコンサートなんだから、本当は、ゆったりと開演時間がくるのを待てればよかったんだけど、そうはうまくはいきません。1曲目は、記念年であるモーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」序曲。昨年の秋、このオペラを見たので、そのときのことを思い出している間に、あっという間に次の曲へ。プログラムによると、2曲目は、モーツァルトのあまり知られていない小曲4曲をチャイコフスキーが編曲して組曲にした「モーツァルティーナ」。ちょっと長めの曲だなと思い始めた頃、「アヴェ・ヴェルム・コルプス」を題材にしていた第3曲でした。この「アヴェ・ヴェルム・コルプス」は、合唱で歌ったことがあったからか、演奏に引込まれていました。つられて歌いそうになりそうなんだけど、そう簡単には歌わせてくれないという編曲。最後の第4曲の最後のほうの管楽器のソロを聴いていたら、このホールで管楽器のコンサート聴いてみたくなっていました。
それまで「この曲、長いな」と思っていたことを忘れていました。そして休憩時間。私にとって、演奏会の楽しみは、休憩時間でもあります。顔なじみの人に会えたとき、つかの間の立ち話は演奏と同じくらい癒されます。一人ででかけた場合でも、美味しい飲み物をいただいたりなど、ちょっとした贅沢な時間です。後半はいよいよ、シュトラウスの名曲とマスネの歌劇「タイス」より“瞑想曲”。ニューイヤーコンサートといえば、ヨハン・シュトラウス。といえば、私の場合、お正月にこたつで、みかん食べながらのテレビ鑑賞というイメージがあります。私自身、ホールに足運んで、ウィンナーワルツを聴く機会というのは、そう滅多にないこと。どう楽しもうかと、かわらばんでの沼尻さんのインタビューを読んでみたら、「お節料理みたいに楽しめば…」とのこと。なるほど。そんなんでいいのね。と、気楽に「この曲、好きだな」とか、「指揮者の動きがおもしろい」などと、楽しんでいるうちに終ってました。でも、なんか足りない。「春の声」も「皇帝円舞曲」も「美しき青きドナウ」も聴いたのに、物足りない。なんでだろう、とにかくアンコール聴きたいと拍手。そういえば、第2部が始まるときの沼尻さんのお話で曲目のことをお話していました。そのこと思い出し、早く聴かせてほしいなと思っていたら、ほどなく登場。演奏されたのは「トリッチ・トラッチ・ポルカ」「ピチカート・ポルカ」「ラデッキー行進曲」の3曲でした。まず、アンコールがあったことを喜び、「ピチカート」の奏法に目と耳を集中してしまい、最後に、沼尻さんは客席に向かっての指揮。客席のお客さんも、ウィーンにいるような雰囲気になっていたような…。楽しんでいたのは間違いない。終った後、帰り支度しながら、まわりのお客さんの表情が楽しそうでした。私も、この3曲があったので、大満足のまま、都バスに揺られて勝鬨橋の夜景を見ながら帰路につきました。第一生命ホールがあるトリトンスクエアーのイルミネーションもなかなか楽しいし、都バスの通るコースも夜景が綺麗。そんなこともホールへ出かける、楽しみのひとつです。
[PR]
by tritonmonitor | 2006-01-31 13:29 | その他特別コンサート等

2006年1月20日ニューイヤーコンサート    【報告:小林美恵子】

【報告:小林美恵子/1階14列15番】


 モーツアルト生誕250年という記念の年、誕生日を1週間後に控えた今日のコンサートはフィガロの結婚序曲で始まりました。沼尻竜典氏指揮のトウキョウ・モーツアルト・プレイヤーズの演奏も活き活きとしていて、文字どおり新しい年の幕開けにぴったりでした。2曲目はチャイコフスキーがモーツアルトの音楽をもとに作曲したという組曲モーツアルティーナです。初めて聴きましたが「アヴェ・ヴェルム・コルプス」が美しい響きの管弦楽で現れ、チャイコフスキーもこの曲が好きだったのかと、嬉しいような気持ちでした。続いての曲はピアノの為の変奏曲を管弦楽にしたものです。ピアノでも多彩な表現に富んだ曲で良く弾かれますが、チャイコフスキーの管弦楽曲ではヴァイオリンのソロが活躍し、華やかさを増しているように感じました。木管の柔らかな響きも印象的でした。

 休憩後はシュトラウスのこうもり序曲で始まりました。ウイーンの雰囲気たっぷりの曲に、たちまちホールの中が華やぎました。ペルシャ行進曲では、タンバリンの音が、目から下をベールで隠した踊り子が足首につけた鈴をならして踊っている様を想わせます。ウイーンの人々はオリエンタルなものにエキゾチックな魅力を感じていたのでしょうか、そう言えばモーツアルトも、ベートーヴェンもトルコ行進曲を書いています。
続いてはタイースの瞑想曲。オペラ「タイース」で、主人公がそれまでの放埒な生活を続けるか信仰の道に入るか苦悩する場面で奏でられる間奏曲ですが、佐分利さんのヴァイオリンは、甘く叙情的なだけに留まらず、オペラの場面にふさわしい深いものが感じられる演奏だったと思います。最後の高音の美しさが心に残りました。
そして再びシュトラウスのワルツとポルカの演奏です。お馴染みの美しいメロディーと軽快で楽しいリズムに、自然と体がスイングして動きそうでした。ウィンナーワルツの特徴である2拍目の『溜め』の具合がちょうど良く、節度と品格のある演奏と感じました。チェロのソロが好演だったと思います。

 アンコールには3曲を演奏して下さいました。トリッチ・トラッチ・ポルカでは沼尻氏のスマートな指揮ぶりに魅了されましたが、続くピチカート・ポルカはオーケストラに任せ、舞台下手に座ってしまわれました。オーケストラの方々が真剣な顔でコンサートミストレスの手元を見つめ、気持を一つにして見事に演奏し終えると、コンサートミストレスの端正な美しいお顔も、この時ばかりはほころんだように見えました。合奏の醍醐味を目の当たりにして、演奏者をうらやましく感じたところにタイミング良くラデツキー行進曲です。会場の我々も手拍子で参加させていただきました。手拍子も立派に一つの楽器になり得ます。ピアニシモからフォルテシモまでディナーミクを表現して、演奏参加の満足感を得る事ができました。

 楽しい音楽を聴いて幸せな気分となり、ウィンナーワルツのリフレインが頭の中を駆け巡っています。沼尻さんも仰っていらしたように、『今年も頑張ろう』とつぶやきつつ帰途につきました。
[PR]
by tritonmonitor | 2006-01-26 11:14 | その他特別コンサート等