NPOトリトン・アーツ・ネットワークの活動レポートです。詳細はhttp://www.triton-arts.net
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音楽の玉手箱Vol.6 メンデルスゾーン生誕200年


6月22日(月)19:00開演
【報告:三木隆二郎/港区在勤 1階14列9番】



 第一生命ホールですでに恒例となっている「音楽の玉手箱シリーズ」とは、18-19世紀には普通に行われていた、様々な編成の曲があたかも現代のTVバラエティ番組のように繰り広げられるコンサートのことです。
 今回が6回目となるこのコンサートではメンデルスゾーン生誕200年を記念して、彼の作品の中から優しく輝く「音楽の翼をもった妖精」にスポットライトを当てて選曲されています。
プレトークとしてメンデルスゾーン研究家の星野宏美の解説付きでした。今年は生誕200年ということで既に半年で19回も記念コンサートに行かれたとか。たった38歳という短い生涯で750曲も書いた彼の様々な音楽の中で普段はめったに聴かれない曲が記念の年だからということで演奏されるのが特にうれしいが、中でも今日は極めつけの希少価値を持つのが「シャコンヌ Pf伴奏付」とのことで期待がますます膨らみます。

 前半の最初は小倉貴久子によるピアノ独奏でお馴染み〈春の歌〉。なじみぶかい旋律はメンデルスゾーンがスコットランドを夫妻で旅行していたくつろいだ気持ちが自然に湧き出ている、という解説を読むと、浮き浮きした気分のいわれが納得できます。
次にチェロの花崎薫が登場して曰く「メンデルスゾーンにはすべてがある。ベートーベンのような精神性、モーツァルトのような人なつっこさ、シューベルトのようなロマンチシズムが嫌みなく高い次元で一つにまとまっている。またその曲をオーケストラで演奏しているとその中にはワーグナーの先駆的な気配すらする。」とのコメントの後、無言歌を演奏しました。
次いでヴァイオリンの桐山建志が現れ、いよいよ〈ヴァイオリンとピアノのためのシャコンヌ 二短調〉の演奏となります。
そもそもシャコンヌにはブラームスやブゾーニによるピアノ用アレンジ、ストコフスキーによる有名なオーケストラ版もあるのですが、メンデルスゾーンによるピアノ伴奏付はその走りだそうです。
聴いてみての感想は「思ったほど(期待したほど)の違和感がない」ということに驚きました。それというのもヴァイオリン・パートがオリジナル通りに自然と始まりピアノは静かにしていることもあり、ピアノがその後和声を付けてもヴァイオリン・パートには一切手を付けていないこともあるからかもしれません。あのシューマンがこの初演を聴いて「メンデルスゾーンによる伴奏は絶妙で、あたかも老バッハが自らピアノに向かっているように思われた」と評したというのもうなずかれます。
次いで前半最後はテノール歌手、畑儀文が珠玉の歌を六曲歌いました。畑は今やドイツリートの第一人者ですがペーターシュライヤーが歌うメンデルスゾーンに魅せられて30年前のデビューコンサートでメンデルスゾーンを取り上げたそうです。確かにメンデルスゾーンは生涯で150曲の歌曲を作っていますが、あらゆる創作全般の根底に歌曲があった、ということです。シンプルかつナチュラルに加えてブリリアントで、たとえば、〈歌の翼〉など一度聴いたら忘れないメロディで誰でも口ずさめるのです。
特に〈新しい愛〉には今日の音楽会のテーマである妖精が登場しました。その妖精とは、「プレストの軽やかなテンポにより、スタカートと付点音符を交えた伴奏が、宙を飛び交う妖精、白馬のギャロップ、そして穏やかならぬ心の内をみごとに表現している。」(プログラムノートより)
プレトークで星野宏美が小倉貴久子に生誕記念コンサートの内容を尋ねた時に「メンデルスゾーンに歌は絶対欠かせない。」と言われたと紹介していましたが、まさに歌曲を入れたことが特に今晩のコンサートをいっそうゴージャスで魅力あふれるものにしていたと言えましょう。

後半は二短調の曲が二曲続きました。最初はピアノ独奏で〈17の厳粛な変奏曲〉ですが、おごそかな主題と言い半音下行によるモティーフの多用といい、精神性の深さを巧みな音楽技法で表現した極めて円熟した作曲技法が「厳粛な雰囲気」を良く表していたと思います。
ついで〈ピアノ三重奏曲第1番 二短調 Op49〉で今晩のプログラムの中ではもっともよく演奏される曲だったかもしれません。
中でも三楽章のスケルツォは「軽やかに生き生きと」という速度表示記号が示すように妖精が舞う音楽だと言えましょう。しかし、実を言うとこの曲を演奏するたびにピアニストから悲鳴が上がるのです。妖精のように軽やかに生き生きと弾くパートが作曲されたのはメンデルスゾーン自身が極めてピアノを弾くのが上手だったからにほかなりません。
この日にステージで演奏されたピアノはまさにメンデルスゾーンが活躍していたころのウィーンで製作されたJ.B.シュトライヒャーのものでした。中に鉄骨フレームはなく強い張力には耐えられませんが、鹿の皮で出来たハンマーにより軽やかなタッチが可能になり、木のケースに入っているので暖かい音色になっているのが特色です。

この日のコンサートには明確な制作の意図もあり、音楽家もそれぞれが一流で魅力あふれる演奏を繰り広げてくれたのですが、唯一残念だったのはお客様の入りで、せめてこの日の聴衆の倍は欲しいと思ったのは私だけだったでしょうか。
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by tritonmonitor | 2009-07-10 16:04 | TAN's Amici コンサート