NPOトリトン・アーツ・ネットワークの活動レポートです。詳細はhttp://www.triton-arts.net
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〈クァルテット・ウィークエンド2010-2011 Galleria〉 エルデーディ弦楽四重奏団

2010年10月17日(日)14:00開演
【報告者:齋藤健治/編集者/月島在住 1階8列9番】

今年も我が町に、クァルテットの季節がやってきた

お待ちかねのシーズン、再開

シューベルト「死と乙女」が鳴る。
甘美なメロディに流されず、抑制をきかせた演奏。エルデーディQは、丹精に音を織り込んでいく。そして冒頭のテーマの再現部から徐々にサウンドが活気づいていく。
今年度の「クァルテット・ウィークエンド」は、弦楽四重奏の定番であるこの曲からスタートした。
開演前のロビーはザワザワとした雰囲気。この日を待ちかねていたかのようだ。
秋から冬、そして春にかけて、第一生命ホールで繰り広げられていく“クァルテットの季節”は、まためぐってきた。

「クァルテット・ウィークエンド」は、様々な人が集う「場」

観客は、1階席は半分ほど、2階席後方も埋まっている。年齢層は高めだ。
その中で、「クァルテット・ウィークエンド」でいつも見かける方々と出会う。どの人たちも、このホールでのイヴェントがなければ知り合えなかったお顔ばかりだ。
それにしても年を重ねるほどに、背負うものも多くなってくる。仕事、家庭、子育て、近所付き合い等々。どれもこれも大切なものだ。その限りある時間をやりくりして、演奏会にかけつけてくる人々。
ある人は仕事の休日かな。ある人はお孫さんのお世話に明け暮れていると聞いている。ある人は主婦業で忙しい。
そうした多様な暮らしを送る人々が集う場。おそらく「クァルテット」がなければ、出会いが生まれえなかった場。
地域社会の崩壊を背景に「新しい公共」という考えが議論されているが、「我が町のホール」が新しい人と人との関係をつくってきたことを、改めて実感した。

シーズンの始まりを緻密な職人芸で聴かせる

エルデーディQのこの日の演奏にも触れてみたい。
「シューベルト&シューマン、ロマンの胎動と爛熟」と題されたプログラムのうち、後半のシューマンでは、「弦楽四重奏曲第3番イ長調op.41-3」を演奏。第1楽章は各パートがやさしい音色を繰り広げ、それをあたかも水彩画のように溶け合わせていく。第2楽章も滑らかな味わいで、とてもシルキーだ。
第3楽章はいぶし銀のような光沢を思わせ、第4楽章は圧巻。奇をてらうことのない緻密な職人芸で、聴衆を音の世界へと引きずり込んでいった。
アンコールはメンデルスゾーン「弦楽四重奏曲第2番イ短調op.13」より第2楽章だったが、この演奏とシューマンを聴き比べることで、彼らの曲の解釈についてのていねいさが伝わってくるものであった。
つまりメンデルスゾーンでは作曲家のあふれんばかりの才能がよく感じられる演奏であったのに対し、シューマンはおそらく研究に研究を重ねてきた音の構築、それをエルデーディQは楽譜を通して追い求めているかのようであった。けっして大向こうに構える演奏ではなく、じっくりと足下を固めていく表現。でもまだ完成し切ってはいなくて、これからさらに深みを探ろうとしている音。
次の「クァルテット・ウィークエンド」ではどのようなアーティストの姿に触れられるのだろうか。
そして、クァルテットを通して知り合った聴衆の方々と今度もまた出会えるかしら――始まったばかりのシーズンに、これからの思いは膨らんでやまない。
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by tritonmonitor | 2010-10-17 17:12
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