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アドヴェントセミナー&クリスマスコンサート 【報告:渡辺和/音楽ジャーナリスト】
5回目のアドヴェント
報告:渡辺和/音楽ジャーナリスト・TANサポーター 今年のアドヴェントセミナーは、12月14日から始まっていた。筆者がやっと練習を覗きに行けた21日は、もう顔合わせからまるまる1週間、連日午前中から夜までの練習もそれなりに進んだ状態である。 というわけで、アドヴェント・セミナーというTANと第一生命ホールにとっては最も大きなイベントを初年度からずっと定点観測しているウォッチャーとすれば、以下はちょっと心許ないレポートとならざるを得ない。お許しあれ。 ◆12月21日午後合奏練習6日目 自分らのパートが休みになる部分では、講師がさりげなく隣の学生に指導をしたり、眺めているとあちこちで細かいやりとりが成されている。精密さを求めて特定の指導者が奏者ひとりひとりをギリギリに絞り上げる、というタイプの練習風景ではないけど、厳しさは伝わってくる練習風景だ。 ちなみに、客席で練習を見物するギャラリーの姿は総計5名。このセミナー、一番面白いのは練習風景だし、受付では舞台上で使っているのと同じ楽譜を無料で貸してくれるというセミナー聴講としては異例の配慮まである。みんな、もっとどんどん見物に来ましょう、と言いたいところだけど、まあこの時期じゃあしょうがなかろうなぁ。 さて、1時から始まった「浄夜」の練習は全体の半分ほどまで進め、3時前に小休止。休み時間の雰囲気を含め、なんか今年は真面目な感じ。ちょっと皮肉に言えば、なんだか妙に温和しい感じもする。松原講師に直接訊ねてみると、今年は初めての参加者ばかりだから…との返事。「去年のバッハも大変だったけど、モーツァルトもかなり手こずってますよ(松原)」。 しばしのお休みを挟んで、3時15分から問題のモーツァルト作曲「アダージョとフーガ」である。毎年1曲用意される、講師が一切の指導をせずに、参加者だけで頭を捻る課題曲だ。我々無責任なギャラリーは「松原勝也の虎の穴」と呼ぶこの合奏練習の様子を見物していると、生徒らの盛り上がり具合が手に取るように判る。 もうセミナーも終盤のこの日、始まる前、トップ数人が舞台上に集まり、ぐるりと輪になり、合奏練習をしている。パート合わせと別に、責任者が集まって合奏のポイントを合わせているようだ。なかなか熱心である。実際に音が出始めると、アダージョはともかく、フーガはここまでやっても「この楽譜の何を聴かせるのか」という一番重要な部分でまだまだ議論が出来そう。誠に奥深い楽譜だ。生徒らの間でも、譜面を睨んだ無言のお見合いと、なんとも騒々しい言い合いが錯綜する時間であった。 客席でスコアを眺めながら聴いていた松原講師と藤森講師が、生徒らが一息入れた瞬間を見計らって、具体的なアドヴァイス。ではもういちど、と始める前に、コンサートミストレスが楽屋下手に備えられたMD録音機のスイッチを入れに来る。弾き終えて、全員が楽屋にゾロゾロと戻り、譜面を開いてプレイバックに熱心に耳を傾ける。まるでオーケストラの録音現場を取材してるみたいだ。余りの真剣さに、声をかけられるような雰囲気ではない。 というわけで、わずか数時間の練習風景はこんなもの。さて、明日はロビーコンサート。公開の合奏練習が終わったら、それぞれのグループでの室内楽練習が始まるそうな。 ◆12月22日昼ロビーコンサート 毎度ながらのロビコンだが、なんせクリスマスイブイブの天皇誕生日前日。多くのオフィスがメチャクチャに忙しい日だ。果たしてお客さんが来るのやら。筆者だって午前中に何本も入ってきた校正を次々と入れて、慌ててトリトンまでチャリチャリと走ったのだけど、それでも昼飯を食べる暇が無い。結局、ホール下のお昼の弁当販売ギャラリーで買ったサンドイッチは、終演後まで腹に入れられないままであった。嗚呼。 さて、クリスマスツリーの前に据えられた椅子と譜面台に向かい合い、もう聴衆はいっぱい。お母さんと子供、企業のOLさんやサラリーマン、最近ロビコンで見かけるようになっているオバチャン、常連のご隠居、そればかりか1列目にはスコアを広げる熟年まで陣取っている。席が無く、後ろに立っている聴衆も沢山います。 それぞれの演奏に対するコメントは控えるけど、ちょっと厳しいことを言ってしまいましょう。このセミナーが「若いプロフェッショナルのための」と名打っている以上、10日間の中でどれほど状況が厳しくても、個々人がプロとしてのレベルの演奏をできるようにするのは演奏者の義務。シューベルトの変ホ長調クァルテットにせよ、モーツァルトのト短調五重奏曲にせよ、ある程度以上の負担がある声部が存在するのは判っているはず。そんなシンドイ仕事を引き当ててしまった奏者は、徹夜して浚ってもまだ足りない状況だろうと、無責任な聴衆にだって痛いほど判る。でも、このロビーコンサートに来ている人たちは、ことによるとモーツァルトの「駆け抜ける悲しみ」をライブで聴くことは生涯ないかもしれない。その人達に、その作品のあるべき「凄さ」を感じさせられないとなると、ちょっと残念です。 演奏の出来が良かったとか悪かったとかではない。このセミナーで大事なのは、演奏の出来ではなく、「音楽演奏のプロとは限られた時間で最善の結果を出すようにギリギリまで努力する経験」なのだろう。厳しさを感じ、大いに落ち込んでくれれば、それはそれで良し。というか、大いに落ち込んでくれなければ、TAN会員として残念だ。 ***** アドヴェントセミナーについて→こちら NPOトリトン・アーツ・ネットワークについて→こちら
by tritonmonitor
| 2005-12-26 17:04
| アドヴェント&クリスマス
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