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NPOトリトン・アーツ・ネットワークの活動レポートです。詳細はhttp://www.triton-arts.net
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2007年1月22日(月)コンチェルト・コペンハーゲン

1F-6-29番 佐々木久枝(会社員・華道教授/中央区在勤)

「今回もなかなか(特に指揮者)イケメンで期待出来そうですよ」という某スタッフさんの言葉を小耳に挟み、ホール聴き初めは足取りが軽やかでした。
ピリオド楽器演奏とモダン楽器演奏によるふた通りのバロック演奏アプローチが盛んな今日この頃。デンマークから初来日というアンサンブルのオールバッハ公演を聴きました。

会場はイケメン効果(?)なのか、古楽愛好の方々の関心高いのか、開場時より多くのお客様がはやる気持ちの中でホールの席に向かう姿が多く、また新年という事もあって大変華やいだ中で開演を迎えました。

チェンバロ協奏曲第1番二短調第1楽章では2度目のカデンツァの展開でテンポのアップぶりがユニークで、指揮とチェンバロの二役務めたモンテルセンのロック音楽経験も踏まえているのが窺い知れました。ゆったりとした中にも表情豊かな第2楽章を経てフィナーレではあっさりと弾き進めていました。その中でもカデンツァの魅力は余すところなく披露しており、その部分モンテルセンにだけパッとスポットライトが当たったように感じられました(考え過ぎ??)

続く協奏曲第4番イ長調第1楽章ではもう少しチェンバロが前面に出てきてもよいのでは?と思ったのですが、分散和音を通じてリズムマシンとして意識していたのかもしれません。そういえば、テーマ提示の際も装飾音の打ち方がロックビートにも思えましたし、教会音楽・ロック音楽・クラシック音楽等の引き出しを多く持っている彼ならではのアプローチ方法なのかな、とも感じました。第2楽章アダージオでのチェンバロは今回の公演中白眉なのかもしれません。この楽章がシチリアーノ嬰ヘの哀歓に満ち溢れていて表情が豊か。装飾音も滑らかで、チェンバロを引き立てるかのように主だった3人の奏者が代わる代わる弾いていくところには聴き入りました。第3楽章での生き生きとした演奏は二重丸。対旋律が優しく寄り添うような演奏を聴かせてくれました。

休憩挟んで協奏曲第5番へ短調では6人メンバーで登場。第1楽章は譜面に忠実に弾いていながら躍動感そのままに、それでいて余分なものが入っていないある種爽快な演奏はそう多く聴く機会がないでしょう。ソロとリトルネッロとの巧みなかけ合いが目に見えない原動力となって、演奏仲間を、会場を引っ張っていったように感じられました。第2楽章でのテーマ提示からすっかり”COCOワールド”になっており、2度目再現部での自由な節回しのアレンジが印象に残りました。あたかも冬の陽だまりを思い起こさせるような、ほのかな温かさ。彼らの故郷北欧の冬の日々と、バッハの故郷ドイツの冬の日々とが曲の演奏を通じてオーヴァーラップしていたのでしょうか。続く第3楽章プレストでは一転して最初から躍動感に溢れたアンサンブル。途中でややリタルダンドをかけつつ飛躍音型を奏していく部分では非常に効果的でした。

元のヴァイオリン協奏曲からアレンジの協奏曲第3番二長調は再び10名フルメンバー登場。前曲まででもそうだったのですが、彼らはチューニングを丁寧に行っていました。能楽等でも調弦や準備を客前で行うお調べという場面はありますが、ちょうどそのCOCO版ともいえるようなもので、その様子がまた洗練されていました。会場内でもそのお調べの雰囲気を共に味わっているような柔らかな印象でした。このようなスタイルがいわゆる”堅い”イメージを持ちがちなバッハの古楽器演奏にもよい意味でほぐれている効果が現れているように思えました。
第1楽章では強弱のメリハリが利いていて素晴らしい演奏でした。指回りもよどみなく流れており、再現部分に戻る直前のカデンツァではややスリリングな弾き口の”仕掛け”を加えており、私も聴き入ったのですが、こちら聴き手の耳をくすぐる(?)ようなテンポ運びには思わず心中唸ってしまいました。第2楽章では出だしのトリルでのやや儚ささえ思わせるテンポルバートが魅力的。チェンバロが左手にも斬新な動きがあちらこちらに取り入れられていましたが、新しいものに常に興味を持ち取り入れていくという点で、作曲者バッハとこのアンサンブルCOCOとの心意気が重なったように感じられました。続くフィナーレでは元気の良さとノリの良さで全体的にやや速めのテンポで弾き進めていっていました。またソロの威勢の良さにアンサンブルも全く気後れせずに一体となって大きなエネルギーとなって音楽を前へ前へと推し進めていっている印象を受けました。

アンコールは2つのヴァイオリンの協奏曲からでしたが、ここでもオリジナルを踏まえながらも実に爽やかな演奏を繰り広げておりました。
本番後にロビーに下りると途端にサイン会の列、列、列!!お買い上げディスクにサイン希望のお客様の為に、サポーター仲間とパッケージ開封に追われるという、嬉しいハプニングもありました。とある古楽愛好サポーター氏は休憩時間も本番後サイン会でも非常に興奮の様子。ハード日程にも関わらず、COCOメンバーはステージ上のみならず、ロビーでも非常に魅力的でした。良い聴き初めのひとときでした。熱烈感謝!!
by tritonmonitor | 2007-02-26 01:02 | TAN's Amici コンサート
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