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NPOトリトン・アーツ・ネットワークの活動レポートです。詳細はhttp://www.triton-arts.net
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音楽のある週末 <弦楽器の魅力> 第1回 千住真理子

5月22日(土)14:00開演
【報告者:Y・F/会社員/1階14列28番】

バッハの世界に浸れる至福のひととき-プロの技に感動-

今回はなんとJ.S.バッハの『無伴奏ヴァイオリンソナタ&パルティータ』全曲の演奏会だ。
私は全曲を通す演奏会を聞くのは初めてだった。バッハの世界に浸れる至福のひとときに期待がふくらんだ。無伴奏はソリストを100%丸ごと楽しめる。演奏者にとって、自分の世界を100%味わってもらえる機会でもあるのだ。
会場はほぼ満席で、年齢層も割と高めな印象を受けた。
第1番のソナタ、アダージョ。弓の先まで神経が行き届いている音色に会場が引き込まれていくのが客席の雰囲気でわかった。続くフーガやシチリアーノ、プレストが一気にバッハの静寂で厳かな世界へ誘っていく。
第1番のパルティータ。全体的に穏やかな曲想に高貴な音色が乗り、会場全体が陶酔感に包まれていた。
3番ソナタ。タフさが必要なフーガやアレグロ・アッサイは重音の連続の間に入ってくる高音は気をつけていないと、神経質な響きになりがちなのだが、千住さんはこの高音の扱いがとても丁寧で、人の声のようなソフトで美しい音色が響きわたった。
3番パルティータ。会場がもっと広く感じるような音色。なおかつ小さな音さえもきちんと拾っている。ホールの音響と曲・演奏者の相性のせいか、まるで石造の神殿で演奏を聴いているかのような神聖な空気と響きだった。
2番ソナタ。間の取り方が絶妙だった。余韻のある間の取り方をしつつ、なおかつ前進感がある。特にフーガは洗練された音と前進感と相まって、抑えたテンポでもみずみずしさを感じさせた。アレグロなどの躍動感のある激しいパッセージのある部分でも、音自体に全くブレがなかった。音のコントロールが行き届いていた。

観客の集中力がさらに高まっているのをホールの息遣いから感じる。後半にこれだけ観客をひきつけられるのも本当にすごい。それは、長いプログラムを計算して、パフォーマンスもきちんとコントロールできているからではないだろうか。

2番パルティータ。バッハを密度の高い音で綴ったという感じがした。最後にふさわしい集中力だった。2番は有名なシャコンヌを含む曲で構成されている。2番のこのシャコンヌでしめくくられるわけだが、このシャコンヌに対してはなんの気負いもなく始まったような気さえした。しかし、そこで演奏されたのは圧倒的に孤独で美しい音楽だった。人生の苦悩を癒すバッハの包み込むような音楽が会場を満たす。孤独が孤独を癒し、強さを与えてくれるようだった。

演奏終了後、ブラボーの声がかかる。鳴りやまない拍手。
全曲演奏でここまでの集中力を持続させたのだ。気力体力共に極限までこのステージで使っただろう。常人ならあの長時間の集中したステージでは倒れてもおかしくはなかった。千住さんプロとしての気魄を感じた演奏会となった。プロの演奏を生で観て・聴いて、バッハの無伴奏演奏の難しさとともに、プロの技に感動した。バッハの無伴奏は、普段ピアノの伴奏などがカバーしてくれるメロディーを一人でこなすので、重音がその他の伴奏付きの曲よりも圧倒的に多い。重音が多い分、弓のコントロールが難しいのだ。千住さんの演奏では、そのコントロールはもちろんのこと弓の先までムラのない音を出していた。これはまさにプロの技だと感動した。

今回の演奏会では,演奏者と一対一で向かい合っているような気分に観客はなったのではないかと思う。それほど演奏者・観客が集中をしていた演奏会だった。それとともに、そのように演出した照明も素晴らしかった。ほぼ中央のスポットライトのみが演奏者を照らす。そのような演出のおかげで,観客の視界も演奏者に集中し,一対一の精神状態を作り上げることができた。
演奏は一曲ごとに盛大な拍手がおくられ,感嘆のため息が観客からもれた。
# by tritonmonitor | 2010-05-22 14:00 | ライフサイクルコンサート

昼の音楽さんぽ 第1回 藤原道山 尺八リサイタル

5月13日(木)11:30開演

【報告者:荒木紀子/中央区在勤/】

尺八クールジャパン

改めて考えてみると、今まで尺八の演奏会に行った経験がなかったことに気がついた。
尺八と聞いて思い浮かべるものと言えば、TVや映画の中で尺八を演奏する虚無僧の姿ぐらい。平均的な日本人がもつ尺八に関する知識といえばこのぐらいだろう。だから、藤原道山さんが革のジャケット姿で颯爽と舞台に登場した時には、何か今までの印象を変えるような事件が起こりそうな予感がした。

1曲目は「アメイジング・グレース」。いろいろなアーティストによって演奏されてきた名曲を日本の伝統楽器が奏でる。アイルランドやスコットランドの民謡が本になっているという説もあるからか、一瞬、尺八で奏でられる音が、アイリッシュフルートの音色のように感じられた。でも、すぐ次の瞬間には、私の中のDNAが音色の奥に潜む陰影のような部分を探し当てていた。

日本人にとって、尺八はDNAに組み込まれた音。どこかもの哀しく、それでいて緊迫した静寂感をもたらす音色は、つつましい日本の文化を表し、自分の体内の深い部分に語りかけてくるようで、遠い歴史の世界に想いを馳せる。

2曲目は、古典の邦楽として有名な「鶴の巣籠」。藤原さんは、今日の演奏会のために何種類かの尺八を携えて舞台に登場した。実は尺八は木ではなく、真竹という竹から作られているそうだ。そのため、長さや色もまちまち。その中からバームクーヘンのように縞模様の入った尺八で演奏する。前の曲よりもこもった奥ゆかしい音が響いた。尺八は、同じ高さの音でも、息や指の使い方、そして首の動きによって全く違う音色になるのだそうだ。尺八を演奏している姿をよく見ると、たえず首を動かしていることに気が付く。なかなか上下運動を要する楽器なのだ。

尺八には、「閉じられた空間を緊張感と静寂で満たすような音」というイメージがあったが、「かざうた」(作:川江美奈子)、「空」(作:藤原道山)では、聴いている内に、尺八の音が自分の内を経由して、開かれた外の世界へと広がっていく。それは音がホール内に響くだけでなく、外へ外へと未知なる世界へと誘ってくれるような心地良さだった。あとでプログラムを読み返して、「空」という曲名はまさにうってつけだったと気がついた。この曲に込められた、広隆寺の弥勒菩薩像への憧憬の念が、聴いている者を時空も超えた遥かな世界へと旅立たせてくれたのだ。

最後に藤原さんは、自身の師匠、山本邦山さんの作品「甲乙」(かんおつ)でしっとりとリサイタルの幕を閉じた。
最近では、尺八は海外でも人気があり、オーストラリアで尺八コンテストも開かれるそうだ。昨今の相撲界よろしく、尺八も海外のプレイヤーに押され気味で、日本人の演奏家が少ないらしい。

これまでDNAに刻まれてきたこの音が、これからもそうあり続けてほしい。日本の伝統楽器を見直して広める人も出てきている。東儀秀樹さんもそのパイオニアとして有名だが、藤原さんにも尺八でクールジャパンの世界をぐんぐん切り拓いていってほしい。幸い、これからもクラシック音楽とのコラボレーション、テレビや舞台での活躍もあるようでとても楽しみだ。
# by tritonmonitor | 2010-05-13 11:13 | ライフサイクルコンサート

育児支援コンサート〜子どもを連れてクラシックコンサート

3月28日(日)14:00開演

【報告者:山白真代/江東区在住/】

3月28日、トリトン・アーツ・ネットワーク主催の親子で楽しめる春のコンサートがやってきました。
毎年人気の公演で、チケットも早々に完売。特に今年は、絵本「スーホの白い馬」が取り上げられた影響からか1月に完売するという快挙。
年々、ステージもお客様も盛り上がりを見せているようです。
私もこの公演を過去に、サポーターとして、又、観客として参加。今回は、モニターとしてこれまでと違った角度から、公演全体を見渡せる機会を頂きました。

まずは、いちご組子どもスタジオ・・・・・。
ここは、小さい靴が並べられた4歳の子ども達のお部屋です。
まさにコンサート・デビュー!と言った感じのおしゃれした小さなお客様でいっぱい。子ども達も、サポーターさんに暖かく迎えられ、安心してスタジオの空気に溶け込んでました。絵本に折り紙、紙芝居・・・と、6つのグループに分かれて和気あいあい。初めて顔を合わせる子どもと子どもが、あっという間にお友達になり、部屋は笑い声が溢れてます。

そして、時間は2時。
後ろから、演奏家3名(ピンクの衣装のフルーティスト、永井由比さん、そしてピアニストの永井幸恵さん、きらびやかな着物姿の尺八奏者、遠藤直幸さん)が演奏しながら登場。間近で見て、聴くフルート、ピアノ、尺八に子ども達は、大興奮です。
永井さん、遠藤さんは子どもの輪に入り、子どもに顔を近づけたり動き回ったりしながらの演奏。子ども達は自然と手拍子しはじめ、大喜び。永井さんのテンション高いお話と演奏に、最初から最後まで子ども達も集中力が途切れる事なく楽しんでいる様子でした。
30分の間に、子ども達の心をしっかりつかんだ3人。
まるで人気ヒーローのキャラクターを見るような憧れの目で、子ども達が演奏家をみつめていたのが印象的でした。

この公演の魅力のひとつが、このスタジオ。
ステージでコンサートを聴くだけでは創られない演奏家と子ども達の心と心の密着が、このスタジオで創られます。この楽しい時間が、第2部のコンサートに生きてくる仕掛けとなっているのです。

30分の休憩を終え、親子が集い、たくさんの人たちで埋め尽くされた客席。子ども達のワクワクした声が響き、熱気に包まれた中で、第2部の幕が開きます。
9人の演奏家による、クラシックの名曲のアンサンブル演奏でスタート。9人がそろったステージは、何とも豪華!スタジオで会ったお兄さん、お姉さんがステージで別人(!?)のように演奏している姿に、目をキラキラさせ、身を乗り出す子ども達。田村緑さんの優しく、分かりやすいお話で、それぞれの楽器についての紹介。
そして、楽器の音色の美しさを感じてもらおうと8種類の楽器で1曲を演奏リレー。
見て、聴いて・・・大人にも子どもにも音の色、響きの違いがよく分かる面白いコーナーでした。

次に、朗読の市橋邦彦さんが登場し、絵本と音楽の世界へ。
「スーホの白い馬」に、グリーグのピアノ協奏曲とどうマッチするのか?が、とても興味深かったのですがこれが、見事にぴったり合うのに驚きと感動。
市橋さんの語られる「スーホの白い馬」のストーリーが、グリーグの音楽で目に見えない風景
と、言葉に出来ない感情が心の中に大きく広がっていきます。
絵とストーリー、語りの力に、音楽の力が大きく加わり、絶妙なバラン
スで繰り広げられる「スーホの白い馬」。ホールにいる事を忘れ、自分もすっかり物語の中に入り込むという心地よい時間を味わいました。田村さんを始めとする演奏家達の作品に対する情熱が、客席の心をしっかり捉え、他にはない独自の、素晴らしい世界へと導いたのだと思います。
この公演で終わらせるには、非常に勿体無い、完成度の高い作品でした。
今回、見る事の出来なかった子ども達にも、何かの機会に、是非この感動を味わって欲しいと思います。

演奏家、サポーター、スタッフと多くの大人達が、音楽を通じて、未来ある子ども達を育てる理想的な環境が、このコンサートでは整っているように感じました。
すべての人たちにとっての“やりがい”がうまく集まり、良い出逢いを生み、そのエネルギーが更に次へと繋げてゆく良い流れが出来ていて、それぞれにとって、ここが居心地よいと思える場所となっているのではないでしょうか。

私も2歳の子どもを持つ母親として、「是非、親子で楽しみたい」と強く思う公演です。
こんなコンサートがあったら良いな・・・が、現実になったコンサート。これからもずっと継続され、音楽の魅力を多くのみなさんと共有出来る場所であって欲しいと心から願ってます。
# by tritonmonitor | 2010-04-30 18:00 | ライフサイクルコンサート

山田和樹ブザンソン国際指揮者コンクール優勝記念 東京混声合唱団特別演奏会

4月16日(金)19:00 開演
【報告:三木隆二郎/1階C11列20番】

【出演】
◆山田和樹(指揮)
◆前田勝則(ピアノ)
◆東京混声合唱団

【曲 目】
◆ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ第9番
◆リーク:コンダリラ
◆黒人霊歌:ジェリコの戦い
◆Rロジャース:エーデルワイス
◆木下牧子:夢みたものは…
◆林光:うた
◆上田真樹:混声合唱とピアノのための組曲「夢の意味」
◆ウルベル:ディズニー映画「南部の唄」よりジッパ・ディ・ドゥー・ダー
◆武満徹:混声合唱のための「うた」より「小さな空(武満徹:作詩)」、「島へ(井沢満:作詩)」、「恋のかくれんぼ(谷川俊太郎:作詩)」、「小さな部屋で(川路明:作詩)」、「死んだ男の残したものは(谷川俊太路:作詩)」
◆三善晃:混声合唱組曲「五つの童画」



 私事で恐縮だが、報告者は今回の指揮者である山田和樹が結婚に至るきっかけを作ったキューピッドの一人である。(三人いたキューピッドの二人目だったらしい) 
 私がアマチュアオーケストラに在籍していた2000年の春の演奏会にモーツァルトの協奏交響曲を演奏することになり、ある公開レッスンで知り合ったヴァイオリニストをソリストとして招へいした際、彼が藝大指揮科在学中で偶然そのアマチュアオケの指揮をしていたというご縁であった。当時の彼の指揮ぶりは「指揮台で踊るマエストロ」という雰囲気で、その天性の明るい性格と相まって練習が実に楽しく、それに引き込まれて演奏もうまくいくというものであった。
去年の夏、結婚式に呼ばれて軽井沢のホテルまで出かけたが、彼は式のごあいさつの中で「今秋ブザンソン指揮コンクールで優勝します。」と宣言して出席者の度肝を抜いた。
お父さんとも式後にお話しを伺う機会があったが、「あんな大仰なことを式のあいさつで言うなんて・・・」とおっしゃっていたものだ。
ところがその優勝宣言を現実のものとしてしまうところが、ヤマカズ(指揮者山田和樹)のすごいところである。
ところで当日の外の天気は4月も半ばだというのに真冬並みの寒さに加えて横なぐりの雨模様と、最悪の天候だったため、駅からホールへの道すがら、お客の入りを心配していた。ところが、である。入ってみると中は超満員で、知り合いを見つけて聞いたところによると、朝から「当日売りがないか」という電話には断りを入れていたとか。
評者はあいにく仕事が長引き、前半途中の愛唱歌からホール内に入って立ち見でしばらく聴いた。何回も東混を聴いているがこの日の演奏は第一生命ホールとの相性の良さが際立っていたように思える。ここ第一生命ホールではかつて、東混の岩城宏之が指揮を終わってアンコールの時、くるりと指揮台の上で客席に向き直り、「この第一生命ホールの響きが余りに素晴らしいので気に入った。だからこのホールください。」と言い始めてびっくりした思い出がある。
確かに「夢みたものは・・・」のしっとりとした叙情や「うた」、「夢の意味」など学校を回って好評だった曲の数々は最弱音のハーモニーが実に味わい深く響くのだ。
ただ一方、ディズニーの「ジッパ・ディー・ドゥー・ダー」のように、ノリの良さが求められる曲では、ホールの格調の高さに気押されたか、学校の体育館などで生徒の前で歌っている時に比べるとやや客席を巻き込む迫力という点で、特にソロの歌手がやや緊張気味だったのが惜しまれる。
しかし、第二部に入って武満徹の「混声合唱の『うた』より」では静けさと大きなうねりが交互に交錯して音の波が寄せては引いていくようで心地よかった。中でも谷川俊太郎の「恋のかくれんぼ」ではその詩の面白さも充分に味わえる歌唱であった。同じく谷川俊太郎作詞の「死んだ男の残したものは」ではライナーノーツによってこの曲が安保闘争の反安保集会のために作曲されたことを初めて知ったのだが、不思議な詩の背景が分かって興味深かった。
最後の林光の「五つの童画」は高田敏子の詩が先に出来ていてそれにイメージを合わせた作曲をしたものとのことだが、やはり童心に帰って自然の中を飛び回るような詩に見事にあった曲である。それを東混は自家薬籠中のものとして、山田和樹の指揮棒の思うがままに自由に飛翔していた。
全体を通してアンサンブルピアニストの前田勝則の演奏も東混とヤマカズのアンサンブルを絶妙なバランスで支えていたことは特筆に値しよう。
終演後、満面の笑みをたたえた田中信昭氏がヤマカズに「オメデトウ」を言いに楽屋口から入って行ったので、その後をついて行ったが、驚いたことに舞台のそでにステージから引き揚げてまだ1分もたたないうちに缶ビールで全員が乾杯していたのだ。それも飛びっきりの笑顔で。
まさに東混は自分達と音楽を作ってきたヤマカズの大指揮者へのデビューに立ち会ってこれ以上の幸せがないという雰囲気で今、ノリにのって光り輝いている。
# by tritonmonitor | 2010-04-27 18:13 | TAN's Amici コンサート

育児支援コンサート~子どもを連れてクラシックコンサート

3月28日(日)14:00開演

【報告者:岡野惠子/美大絵本授業助手/2階L1列25番】


今回の絵本は、社会人の息子が今でも懐かしむモンゴル民話「スーホの白い馬」(1967年)でした。スーホは斧という意味を持つ人名で、モンゴルの伝統楽器モリンホール(馬頭琴)の由来にまつわる悲しくも美しい物語です。馬頭琴奏者である季波が作曲した作品や小学生のための音楽劇・物語集(2008年NHK東京児童合唱団)もあります。

子どものための音楽スタジオでは、開演を待つ子どもたちが臨機応変に対応するサポーターを中心とするスタッフとあやとり・折り紙・お絵描き・絵本でくつろぐ様子が印象的でした。いよいよスタジオが始まると空気は一転、活発な活動が伺えます。クラリネットのクラスのご挨拶は、ドビュッシーからジャズのガーシュイン等の演奏でした。クラリネット奏者の西尾さんの笑顔で軽快なクイズに嬉々と答え、黒く硬い材質が「グラナディラ」と知りました。動から静へと導く楽しい内容でした。

休憩を挟み、待ちに待ったみんな一緒のコンサートは、子どもたちを虜にする田村さんの問いかけとヴァイオリンより深い音色のヴィオラ、チェロ、クラリネット、澄んだフルート、豊かなホルン、軽快なマリンバ、ピアノとバトンの無い音のリレーで始まりです。「音楽と絵本」では、グリーグ「ピアノ協奏曲」にスクリーンいっぱいの赤羽末吉の絵と大塚勇三再話の朗読が、スーホの愛馬である白い馬が夢枕に現れ、横暴な領主に殺された自分の亡骸で楽器を作るようにスーホに伝える場面を、より一層深みの有る美しい物語として響かせます。何より演奏者の名司会が心地よく流れたプログラム構成でした。
# by tritonmonitor | 2010-04-20 15:37 | ライフサイクルコンサート